はじめに

これまでフランス語を学んできたのに、いざ実際にフランス語でコミュニケーションをしようとして、思ったように話せずガッカリされた経験はありませんか。その原因にはいろいろありますが、その場面に適した表現がうまく出てこなかったという場合も多く見かけられます。そこで本書は、フランス語で会話をするときによく使用する表現、そして、使い方のコツを覚えれば会話力アップにつながるような表現をとりあげ、より自然な、より豊かなコミュニケーションを目指す読者を支援したいという思いから編まれました。

会話で使われることばには、会話ゆえに、直訳では理解することのできない微妙なニュアンスが含まれています。≪A noter≫では、そのようなニュアンスをできるかぎり解説することを試みました。また、会話は、そのシチュエーションなしでは成立しません。【ミニ対話】の場面を実際に想像しながら、表現を覚えていきましょう。そして他にどのような場面でその表現が使えるのか想像することも、実際のコミュニケーションへ向けての準備として役に立ちます。

フランス語を母語としない者が間違えをするのは当たり前のことです。恥ずかしがらず、相手をきちんと見て、ゆっくりでも明確な発音で話すよう心がけましょう。また感情をしっかりと込めて発話することが良いイントネーションに結びつきます。そして、何よりも自分の方から積極的に話しかけようとする気持ちをもつことが大切です。一見冷たそうにみえる人でも親切にしてくれることでしょう。

本書を出版するにあたって、丁寧なネイティブ・チェックをしてくださった、友人で同僚のシルヴィー・ブロッソさん、原稿の査読をしてくれた夫の飯田年穂、そして、いつも気持ち良く仕事ができるように配慮してくださった(株)語研編集部の島袋一郎さんに深く感謝します。

1999年5月
飯田良子
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