はじめに

ネイティブスピーカーの発音と日本人の発音はどこがどのように違うのでしょうか。また、リスニングができる人はなぜ、あなたが聞き取れない音を理解できるのでしょう。多くの学習者にとって、発音とリスニングのレベルアップは謎が多く、常に手探りで、時間のかかるプロセスです。

そこで、発音のツボやリスニングのポイントをはっきりさせ、それらを集中してトレーニングする、というのが本書のねらいです。類似するふたつの音を対比、あるいは性質の似た音をグループ分けすることで、日本人の苦手な英語の音を効率よく体系的に練習できるのが特徴です。

本書に掲載している一連の単語や早口言葉は、ターゲットの音に自然と注意が向けられるようにできていますので、正しいクセを無理なく身につけながら、それらを新たな習慣として固めていくことが可能です。必須項目から見落としがちなポイントまでをひとつひとつマスターすることで、カタカナ英語や日本語英語がしっかりと矯正されるはずです。

口・舌・耳・頭を徹底的に刺激すると、英語が「何となくできない」ものから、よりはっきりとした対象に変わってくると思います。「聞こえる・言える音」と「聞こえない・言えない音」がはっきりすることで、レベルアップも暗中模索ではなくなり、トレーニングにもいっそう気持ちが入るというものです。

口慣らし程度のエクササイズから口も頭も混乱してくる早口言葉までを順次攻略していく過程で、耳慣れなかった英語の音が違和感なく聞こえ始め、だんだんと半無意識に聞き分け・発声ができるようになるという英語への適応を実感していただきたいと思います。

「外国語」だった英語と一体になっていくにつれて、通じない英語から脱却するとともに、日常会話・映画鑑賞・スピーチ・資格試験など実践の場面でも、英語がすんなりと耳に入り、口先から自然に本物の音が紡ぎだされる回数が増えていくことでしょう。

最後に、本書の企画から校正段階にいたるまで貴重な提言・助言を頂いた(株)語研編集部の田尻まど香氏、および早口言葉への建設的なアドバイスを頂いたPhilippaCollie氏に感謝申し上げます。

2011年12月
著者
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