プロローグ

通訳案内士試験の2015 年度の総受験者数は前年度より50% 以上増加して10,975 人で,そのうち英語が8,491 人の77% を占めています。合格者も前年度より28% 増加の1,822 人となりました。合格率は,英語では一次試験が邦文試験と両方で28% ですが,英文試験免除を使う受験者が4 割近くで,再受験者,一次試験免除者457 名を考慮すると,免除を用いない人の一次試験合格率は約2 割となります。二次試験は,一次試験免除者数を考慮すると,合格率が約6 割となっています。最終合格率は21.5% で,全体的に難易度が上がっています。英語試験はすべてが記号選択式問題となり,合格ラインは正解率が70% 以上で,合格の目安は,日本事象や地理に詳しい人は英検準1 級レベルの人でも合格できるかもしれませんが,そうでない人は英検1 級に不合格A レベルの人でもパスしない可能性があります。こういった状況の中で,1 人でも多くの人がこの通訳案内士試験に合格できるように本書は作成されました。

本書の構成は,1 ~ 5 章までが一次試験対策,6 章が二次試験対策となっています。1 ~ 3 章は,それぞれ「英文読解総合問題」,「英文整序問題」,「英文和訳問題」の攻略法& トレーニングで,日本文化に関する難易度の高い英文パッセージを用い,勉強効率を高めています。4 章は「和文英訳問題」の攻略法& トレーニングで,場面別の「案内業務の英語表現」の問題と音読用の例文集を用意し,合格と同時にプロの通訳案内士に必要なスキルを身につけることができます。5 章は「日本事象・写真マッチング問題」の攻略法&トレーニングで,二次面接でも使える日本事象や名所説明問題を用意しました。6 章の「二次面接試験」攻略法&トレーニングは,観光地理,宗教・歴史,文化の分野で重要なトピックに関して,音声付きのシミュレーションテストを通して,通訳・プレゼン・Q&A のスキルアップを可能にします。さらに,最短距離でプレゼン対策ができるための「ひな形」,試験で役立つ分野別語彙集,二次試験体験談コラムも織り込んだ充実した内容になっています。

本書の制作にあたり,多大な努力をしてくれたアクエアリーズスタッフの上田敏子氏(全体構成企画・2 章・5 章担当・6 章協力),小室葉子氏(1 章・6 章担当,全章校正),田中秀樹氏(3 章担当),岩間琢磨氏(4 章担当・2 章・6 章協力),小谷延良氏(5 章協力),深谷真佐江氏・細沼佳代氏・ミッチー里中氏(6 章協力),今田理恵子氏・中坂明子氏(6章解説協力),加藤哲子氏(翻訳協力),および(株)語研編集部の島袋一郎氏,遠藤梨沙氏には,心から感謝の意を表したいと思います。そして何よりも,我々の努力の結晶である著書を愛読してくださる読者の皆さんには,心からお礼申し上げます。それでは皆さん,明日に向か合って英の道を,

Let's enjoy the process! (陽は必ず昇る!)

2016年4月
植田 一三
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