本書のねらい

日本政府は2016 年3 月,海外からの訪日者数を「東京オリンピック・パラリンピック」が開催される2020 年には2倍の4,000 万人,2030 年には3倍の6,000 万人に増やす新しい目標を決めました。そして「東京」は,海外からの訪日者の都道府県別宿泊者数ランキングを見ても,群を抜いて第1位の訪問先でもあります。

東京の観光といえば,都心の主要観光スポットである「神社仏閣・都立公園庭園・博物館」等のアカデミックな主題がありますが,本書では,観光時の楽しみの一つでもあるshopping& dining area を主軸にした商業施設や,郊外における主要な観光スポットにも焦点をあて,ややポピュラーな主題を収録しました。

海外からの観光客に対して『観光都市「東京」』を紹介するとき,大事なことは下記の2 点です。

【1】一般常識のかんよう

東京駅を出て,丸の内側の『高層ビル街』あるいは八重洲側の『日本橋』を海外からの観光客とそぞろ歩きをしながら案内するとします。そのとき,「丸の内オアゾ」「KITTE」あるいは「コレド日本橋」「コレドの意味」などについて数分間紹介できますか。また,海外からの観光客の人気スポットである「浅草」「秋葉原」「銀座」だけでなく,海外からの観光客がcool だと感じる観光スポットの「アメ横」や夜の新宿「思い出横丁」なども然しかりです。「一般常識」は英語力の前に問われる大事な要素です。

【2】英語力の養成。

いざ東京事情を紹介する段階で問われるのは,「日本固有の名詞」や「日本独特の語句」などに関する「英語のキーワード」です。浅草の仲見世商店街での「東京の名物」(雷鳴りおこしや人形焼きなど),また浅草橋の日本の伝統的な七段雛段に並ぶ「雛人形」のキーワードなどがとっさに口から出ますか。時には多少説明を要する「英語の語句」です。月島もんじゃストリートでは,「もんじゃ焼き」と「お好み焼き」の違いを紹介することが問われます。詳細な「日本文化紹介法」は他の学習書に譲ることにします。

最後に「『お・も・て・な・し』の心」です。しかし本書は修身書ではありません。もくでは海外からの観光客に東京観光の紹介は務まりません。「ことば」(英語)と「文化」(一般常識)をしっかりと磨き上げ,キラキラと輝いてこそ,海外からの観光客を温かく「おもてなし」することができるのです。

2017年10月
著者
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