はじめに
21世紀に入り、2000年の友好往来の歴史を持つ日中両国の関係が新しい段階を迎えようとしている今日、単なる観光やビジネスではなく、「中国の悠久なる歴史や伝統文化をもっと知りたい」、「中国の人々とコミュニケーションを通してお互いの理解を深めたい」、という思いを持って中国の大地を訪れる日本人の数は、このところ増え続けています。
中国の人々と漢字で「筆談」をするのではなく、たとえかたことの中国語でも会話が通じたときの感激は、中国語を勉強している人なら誰でも体験したことでしょう。しかし、発音をマスターし、文法を理解していても、単語がわからないゆえに言いたいことが表現できない、そのときのあせりとくやしさもきっと味わったことがあるに違いありません。
本書は、少しでも困ったときの皆様の助けになるよう、日常会話で頻繁に使う単語をピックアップし、それぞれを分野別に紹介したテキストです。例文も、日本での生活と中国へ行かれたときの両方の場面を想定し、なるべく短く覚えやすくしてあります。
初心者、そして中国語を続けている人にとって、本書が少しでもお役に立つことになれば大いに幸いするところです。
今年は日中国交正常化30周年ですが、この記念すべき年に皆様の手元に本書をお届けすることができ、大変うれしく思っています。
❖本書の構成と使い方
本書は以下の2部構成になっています。
【第1章 中国語の文字と発音】
この章では,中国語の発音と基本的な文の仕組みについてポイントをまとめました。第2章で紹介されている例文をより理解するためにも,さっと目を通しておくとよいでしょう。
【第2章 日本語から引く中国語】
この章では,日本語を手がかりに目的の中国語を探します。左ページでは中国語,右ページではその中国語を使った例文が紹介されています。例文は日常会話でよく使われる表現,作文に応用できる表現を中心に紹介しました。
1947年日本大阪生まれ。1953年に両親と共に中国へ。中国天津師範学院中文科を卒業。中国天津市五十九中学高等部教員。1982年再び来日,現代中国語学院,中国研究所中国語研修学校講師を経て,現在,日中学院講師,早稲田大学非常勤講師。