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※ためし読みの色は実際の書籍とは異なります。
はじめに
スペイン語を勉強してみようかな,と思う理由は様々だと思います。大学の授業や仕事で必要な人,サッカーやフラメンコなどに興味があり,「言葉がわかるようになったらもっと楽しいかも」と思って始める人,また,近年日本に増えてきた「スペイン」バルのメニューに興味を持って,という人もいるかもしれません。その理由や目指す到達レベルは様々でも,骨組みとなる文法をおおまかにでも理解することが基本です。骨組みさえおさえておけば,後は各自の興味や目的に従って,本や新聞を読んだり,テレビやスペイン語の音楽を聞いたりして,肉付けをしていくことができます。本書ではその骨組みとなる文法をわかりやすく示すことに力を入れました。ただ,文法理解のための解説にはならないよう,文法事項は簡潔に,そしてできる限り図やイラストを用いて視覚的に理解できるよう工夫しました。
文法というと,机上の学問で役に立たない,と思われてしまうことが多いのですが,実は,外国語でコミュニケーションをとるためにとても役に立つ道具なのです。単語がわかっていても,それをどうやって並べればいいのかわからなければ,自分の思いを伝えることができません。また,スペイン語圏の人と知り合い,初めは簡単な会話で満足していても,親しくなるに従い,どんどん込み入った話をしたくなってきます。そうすると,暗記していた例文だけでは足りず,いよいよ文法の出番となります。知っている単語を骨組みに従って並べていき,自分の思いを伝えましょう。そして,これはいつも授業中に言っていることなのですが,「文法は頭の体操。パズルみたいなもの」。動詞の活用や名詞の性数など,文法事項を全て暗記しなければならない,と思うと,いくら好きで始めたスペイン語でもうんざりしてしまうことがあるかと思います。けれども,「この面倒な規則,バラバラにではなくて統一的に覚えられるような方法はないかな?」と謎解きをするような感覚で文法をみていくと,名探偵のようにふと解決策が見つかったりすることがあります。覚えなくてはいけない文法事項ですが,楽しみながら勉強していけば,決して面倒なものではありません。
会話編では,スペインや中南米諸国に旅行したときにすぐに使えるような表現を選び,場面ごとに会話例と語彙リストを作成しました。実際に外国語を使うことにより,さらに興味がわいてきて,もっと勉強しよう,もっと自分のことを表現したい,という思いが強くなるはずです。海外で,そして日本に住んでいるスペイン語圏の人たちと,ぜひ話してみてください。
本書の刊行にあたり,多くの方々のご尽力をいただきました。会話編での場面設定や語彙については,現在マドリード自治大学哲文学部でスペイン語学を学んでいる Ana Robla さんより,若い視点からのご意見をいただきました。また,筆者がマドリード自治大学博士課程に留学しているころからの友人で,現在,マドリード州公立語学学校でスペイン語を教えている Raquel RodríguezRubio さんには内容についての多くの疑問に答えていただくと同時に,校正をお願いしました。柿の種が大好きな,明るくユーモアのある先生です。お二人にこの場を借りてお礼申し上げます。¡Muchísimas gracias!
そして,最後になりましたが,常に貴重なアドバイスをくださり,また遅々として進まない校正作業に我慢強くお付き合いくださった語研編集部の西山美穂さんに,深く感謝申し上げます。
Español rápido gramática
快速マスタースペイン語 文法編
Español rápido expresiones Y conversación
快速マスタースペイン語 会話表現編
津田塾大学学芸学部英文学科卒業。東京外国語大学大学院博士後期課程単位取得退学。スペイン・マドリード自治大学哲文学部博士課程修了。博士(言語学)。現在,日本大学経済学部教授。
主要著書に,『今すぐ書けるスペイン語レター・Eメール表現集』(語研),『超入門!書いて覚えるスペイン語ドリル』(ナツメ社),『スペイン語 話す・聞く かんたん入門書』(池田書店),『だいたいで楽しいスペイン語入門』(三修社),『世界を広げるスペイン語』(共著,同学社)などがある。。