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※ためし読みの色は実際の書籍とは異なります。
はじめに
「ネイティブのようにスラスラと言葉を操れるようになりたい」という思いは,ロシア語学習者に限らず,外国語を学ぶ誰しもが抱く願いである。
本書は,日常のひとコマで使われているロシア語表現をそれぞれ3 つのパターンでもって挙げ,短期間で自然なロシア語発話ができるように読者を導く。
ロシア語で自己紹介したり,挨拶するのはそう難しいことではない。難しいのは,相手の問いや呼びかけに応え,アクティブに対応していくことである。もっと踏み込んで尋ねたい時,言いづらいことを切り出したいとき,同意できないとき,言葉を濁したいとき,感情を吐露したいとき−「その一言が言いたかった」と考える決めの「一言」を,本書には多数載せた。
ロシア語では,相手によって呼びかけを変えるが(家族や友人などの親しい間柄,子供に対してはTы,それ以外ではBы を用いる),各表現の3 番目のパターンには主にTы で呼びかけ合う間柄での表現を取り入れた。また,往々にして学習者にとってのつまずきの石となる数詞を伴う表現は,別個に一章をもうけた。
付録のCD を繰り返し聞き,ダイアログの形でフレーズを,シャドーイング練習などを通して頭に入れることによって,まさにその場その場に合った「生のロシア語」が口をついて出てくるようになるだろう。
最後に,本書は,ロシア語通訳界の大御所,德永晴美先生の存在なくしては書き上げることができなかったことをここに記しておきたい。本書のロシア語に付された精緻なフリガナは德永先生の手によるものであり,発音・文法ミニマム以外にも数多くの助言をいただいた。どれだけ言葉を尽くそうとも,私たちの感謝の念を伝え切れない。
また,要所でわかりやすい助言をくださった,ニージニー・ノヴゴロド国立言語大学の助教授のナターリヤ・ピャートラソヴナ・ドミトレーンコ氏に,CD 収録のダイアログをきれいな発音で吹き込んでくださったNHK 国際放送ロシア語アナウンサー・青山学院大学講師のアレクセイ・ペトローヴィチ・ラ・ラフーボ氏に,企画から編集にわたってご尽力いただいた,横浜ロシア語教室の野口福美先生と,終始身軽に柔軟な措置を講じてくださった(株)語研編集部の西山美穂氏にも,心よりお礼申し上げたい。
横浜生まれ。千葉大学大学院社会文化科学研究科博士課程修了,文学博士。2002年より横浜ロシア語センターの講師として勤務。同センター副会長。2004年,北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター, COE=鈴川基金奨励研究員。2009-2013年,横浜国立大学教育人間科学部,ロシア語非常勤講師。2011年,千葉大学外国語センター,ロシア語非常勤講師。
著書に『ロシア革命と亡命思想家』(共著,成文社,2006),『19世紀ロシアと作家ガルシン』(東洋書店,2010)がある。
Александра Владимировна Судо
ハバロフスク生まれ。ハバロフスク国立工科大学社会文化サービス・観光学科(日本語専攻)卒。2006年来日。千葉の双葉外語学校にてさらに日本語を学ぶ。2009年より横浜ロシア語センターの講師として勤務。その他,税関や警察,防衛省などの公的機関や様々な企業においてロシア語研修を行っている。
性別はM。外務省研修所講師(非常勤),朝日新聞客員,元上智大学外国語学部教授。
1970年モスクワ・ルムンバ大学歴史・文学部を修士号(MA)取得終了。帰国後フリー同時通訳者,ロシア語通訳協会会長,NHK・TVロシア語講座講師,通訳ガイド国家試験・ロシア語試験委員会主任を歴任。1990年から朝日新聞外報部記者,同紙モスクワ特派員を経て2002年上智大学外国語学部ロシア語学科教授に就任。
著書『実務のロシア語Ⅰ・Ⅱ』(アーバンプロ出版,2014),『ロシア・CIS南部の動乱―岐路に立つプーチン政権の試練』(清水弘文堂書房,2003),『ロシア語通訳コミュニケーション教本』(ナウカ,2001)。『ロシア語会話とっさのひとこと』(共著・総監修・DHC出版,2003)他。