音声ダウンロード・すぐ聴く音声 FAQ
はじめに
なぜ、いま「英文法」なのでしょうか。それは「英文法」が、使える技能(スキル)として英語を身につけるうえでこのうえなく便利な道具だからです。英語で自分の考えや気持ちを伝えようとするとき、私たちはまず、自分の言いたいことを表す単語や熟語、表現を頭の中に思い浮かべます。しかし、それを思いつくままに表現しても、自分の伝えたいことは正しく伝わりません。「英文法」という一定のルールに従って、相手がきちんと理解できるように「文」として組み立ててあげなければならないのです。リスニングとリーディング(音声と文字による受信)、スピーキングとライティング(音声と文字による発信)という4技能のすべてをコントロールしているルールが「英文法」にほかなりません。
もちろん、コミュニケーションの場面では、必ずしも「文法的に正しい」英語にとらわれる必要はありません。ネイティブ・スピーカーでさえ、話すことばを文字にしてみるとかなりの間違いを含んでいるのですから。しかし、自分の言いたいことを正しく理解してもらうためには、最低限の文法ルールを守る必要があります。本書は、中学校・高等学校でみなさんが学んだ「英文法」のうち、コミュニケーションに不可欠な事項だけをもう一度短期間で学んでいただく目的でまとめた実用文法書です。
ところで、英語を話す場合、頭で理解しているだけの「英文法」はほとんど役に立ちません。会話に役立つのは、実用的な文の形で、実際に声に出しながら反復練習して体得した「英文法」なのです。英語を技能として使えるようになるには、ことばの発射台である口・声を徹底的に使って英語を体得することが不可欠です。
中学校、高等学校、大学まで英語を学習しても、なかなか英語を話す力、聴いて理解する力が伸びない原因がここにあります。何よりもまず、中学校、高等学校レベルの英語を用いて日常生活、ビジネスの場面でそのまま使える例文を、口頭で完璧に暗唱できるまで練習しましょう。声に出して練習していない英語が口から出てくるはずはありません。目ではなく、口・声を学習の中心に置くことが何よりも大切です。
反復練習によって体得する英語に、世界共通という国際保証書を与えてくれるのが「英文法」です。単語、熟語、表現の組み合わせ方や、変化の仕方に関する国際ルールである「英文法」が、誤解のないコミュニケーションを保証してくれます。筆者が「音読でマスターする英文法」を提唱する根拠もそこにあります。それでは、ネイティブの音声をお手本に、声に出してスタートしましょう。
上智大学外国語学部英語学科卒業。ソフィア英語学院院長。
ミリオンセラー『基本英文法演習2000』をはじめ、『大学入試英語力完成シリーズ』『Universal English Handbook』『Sophia English Passport』など、著書多数。