※ためし読みの色は実際の書籍とは異なります。
はじめに
フランス語の基礎を学習し終えると,次のステップはより多くの語彙や表現の習得です。しかし単にそれらを覚えるだけでは不十分です。せっかく覚えた単語や表現をコミュニケーションに活かすには,どのような状況のときにそれらを使うかということを知ることが大切です。使い方をあやまるとあらぬ誤解をまねいたり,相手に不愉快な思いをさせてしまうことさえあります。
そこで本書では,フランス語を母語とする人たちが多く用いる表現を集め,それを日常的なミニ会話の中に入れることによって使い方を紹介しました。それぞれのページに同じ意味,または関連する表現を三つ取り上げ,最も一般的なものを,最も頻繁に使うものから順に並べてみました。フランス語は正確な言語です。意味が同じような表現でも,相手や場によって適切に使い分けなければなりません。会話とページ下の【ポイント】,また別売のCD に録音された音声,特にイントネーションを参考にして,それぞれの表現の具体的な使い方を覚えてください。また会話には,それらの表現とともに,関連してフランス語を母語とする人たちがよく使う単語もできるだけ多く入れるようにしました。あわせて学習することで,語彙を増やすための助けになるはずです。本書がフランス語学習をされている方々のお役に立てれば光栄です。
最後になりましたが,(株)語研編集部の島袋一郎編集代表と,校正を担当された遠藤梨沙さんに感謝いたします。
目次
東京生まれ。小学校の頃から多年,ヨーロッパのフランス語圏で生活。国際基督教大学卒業後,ジュネーブ大学,グルノーブル第3大学で「外国語としてのフランス語教育」について研究。文学修士。元立教大学講師,元東京日仏学院講師。現在,白百合女子大学と青山学院大学で講師。フランス語教育に関する研究会,教員養成等の活動をしている。編著書に『【ポケット判】フランス語で言ってみたい「この一言」』(語研),『フランス語がもっとうまくなる[単語・熟語・フレーズ]』(語研,共著),『ロベール・クレ仏和辞典』(駿河台出版,共編),『フランス人が日本人によく聞く100の質問』(三修社,共著)がある。
フランス,マルセーユ生まれ。高等師範学校(エコール・ノルマル・シュペリユール)卒業。1992年にフランス文学分野のアグレガシオン,1999年に博士を取得。キングス・カレッジ(ロンドン)教育助手,フランス・リール第3大学講師,慶応義塾大学訪問講師を経て,現在,東京大学大学院人文社会系研究科・フランス語フランス文学研究室准教授。専攻は,フランスと日本におけるテクストとイメージの関係。『絵を書く』(水声社),『詩とイメージ——マラルメ以降のテクストとイメージ』(水声社)などを編集。フランス語教育の著作としては,『フランス語がもっとうまくなる[単語・熟語・フレーズ]』(語研,共著)がある。