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※ためし読みの色は実際の書籍とは異なります。
はじめに
言葉を勉強するということは、その国の文化、歴史など、あるいは現在の社会に興味があるからで、何の目的も無いことはありません。言葉を介してのコミュニケーションは、程度の差こそあれその国を心で感じるための第一歩です。そしてそこに暮らす人々を好きになる第一歩でもあるのです。
フランス語は文化に裏打ちされた言語です。フランスについての情報はほとんどの場合、日本語の翻訳によるものです。誰でもフランス語ができたらどれだけフランスを楽しむことができるだろうかと、いつかは思ったに違いありません。フランス語はきれいだ、しかしフランス語に限らずすべてきれいです。日本語だって外国の人達から見れば難しいと言われます。でも私たちは不自由なく使っています。
どんな言葉でも心がゆがんでいれば、発せられる音声はきれいではありません。フランス語がきれいだと言われるのは、ひとりひとりが言葉を大事にしているからでしょう。同時に発音に関して注意しているからでしょう。日本人はやたらに外国語を取り入れて、カタカナにして平気で使おうとします。意味がはっきりしなくても、見た目のよさだけで使いたがります。言葉の大事さがわかっていないのです。共通の発音、地方の発音など今までに日本語の音声指導を学校の授業で受けたことがありますか。フランス人は子供でさえ、旅行したときの地方の発音をまねしながら、自分たちのものとはこのように違う、と言って教えてくれます。
言葉の音声が大事なことはわかっていても、正面から取り組む姿勢が日本人には少ないのです。これが外国語を勉強する意欲を後退させています。
本書ではフランス語に関してごく基本的な音声知識をまず簡単に紹介します。それから練習をくり返しながら、次の段階へと進みます。きれいな発音ということを言いましたが、本書では発音をカナで示しません。理由は本文を見てください。発音の基礎をしっかりと覚えてしまえば、あとは練習のみです。
旅をするにしても、フランスに入り込むにしても、ヨーロッパでは最も大事な言語のひとつであるフランス語の発音をものにしてください。
CONTENTS
目次
本書の構成と使い方
本書は大きく,「準備編」「本編」「フランス語らしく話すために」「フランス語らしく話すために」の 3 部構成となっています。
「準備編」では,本書でフランス語の発音を勉強していく際の基本的な姿勢について述べました。カタカナに頼っていては,正確なフランス語はなかなか身につきません。カタカナ表記の問題点と,発音記号による学習の利点について触れていますので,「本編」に進む前にぜひ,目をとおしておきましょう。
「本編」では,「個々の音から文章へ」の流れに沿って,個々の音の特徴と発音のポイントから勉強していきます。日本語との比較についても解説しましたので,音の理解に役立ちます。
フランス語特有のリエゾン,アンシェヌマン,エリズィヨン,そしてアクセント,イントネーション,リズムと,フランス語をフランス語らしくしている様々な音の現象についても学びます。
見慣れない綴りをどう読み,どう発音するのかについても解説しましたので,順を追って学習していけば,音に関する基礎はひととおり身につくようになっています。
「フランス語らしく話すために」では,フランス人が,言いたいことをどのように頭のなかで組み立てているのか,について解説しました。自分でフランス語を組み立てていくときの参考になります。あいさつ等の定型表現を覚えたら,どんどんフランス語を使ってみましょう。
2016 年 9 月より,初等教育課程の教科書で一部のアクセント記号(î,û)が消え,一部の母音字やハイフンが省略されることとなりました。この変更の目的は,つづりの誤りや不一致を是正することであり,発音自体には影響はありません。本書は,新式の表記に沿ったものではなく,往来の表記となっています。
音声は見出しの日本語部分も収録されています。フランス語部分だけを頭出しで聞きたい場合,テキストのファイル番号をご参照ください。スピーカーのアイコンで示した箇所は音声が収録されています。
テキストで音の特徴を理解したら,CD で実際の発音を聞き,くり返し練習しましょう。正確なフランス語を身につけるために,是非 CD をご活用ください。
付属のディスクは,MP3 形式の音声データを収録した CD-ROM です。コンピュータと光学式ドライブを使ったデータコピー,再生が可能です。付属のディスクは音楽用 CD プレイヤーで再生しないでください。
元聖徳大学教授。元上智大学講師、元青山学院大学講師。
専門はフランス語音声学、一般音声学、フランス語学。
【最近の著作】
『船長日記~ゆるり・ゆらり~』(2013, 朝日出版社刊)
『音声ノートーことばと文化と人間とー』(2016, 朝日出版社刊)
『発話直前に想起される音声連鎖の構造ーフランス語学習を例として、心象音声の応用ー La structure de la séquence phonétique remémorée lors de l'émissionーessai d'application des images phonétiques à l'apprentissage du français』(2016, 朝日出版社刊)