はじめに
私の趣味の一つはマジックです。カード・マジックの技法の一つに、二枚のカードを一枚のカードのように見せて取り上げるという技があります。聞いた限りでは、だれでも簡単にできそうですが、実際にやってみるとなかなか難しいことがわかります。さりげなく、一瞬のためらいもなくサッとやれないのです。しかしプロがやると、普通に一枚を取り上げたようにしか見えません。マジックの解説書はいつも「上達するには正しい練習法あるのみ」と決まり文句で結びます。
この話を持ち出した理由は、英語の上達も大切なのは正しい方法で練習することだからです。正しくない方法で練習したのならば、悪い癖がつき、上達は望めません。本書では正しい練習方法の一つとして、抽象的な日本語表現をより具体的表現に変換する方法を紹介します。つまり、「どんなご家庭なのですか」と聞かれるよりも「ご家族は何人ですか」の方が問いやすいし、答えやすい点に注目しました。表面的な日本語の表現にこだわらず、それが具体的に何を意味するのかを瞬時に判断することができれば、英語はもっと話せるようになるはずです。また、本書は伝統的な学校英語と今日的なネイティブ英語の橋渡しをする本とも言えます。そのために私は、今回も完全バイリンガルのロング先生とタッグ・チームを作り執筆にあたりました。
ロング先生は、「執筆のときに心がけているのは、皆さんの英語学習に本当に役に立つ本を書くということです。どんな場合にどんな英語を使うべきかを日常生活で細かく simulate し、それぞれの situation で best な英語表現をマニュアル化したつもりです。ですから本書を充分練習すれば、どの状況でも英語で表現ができるようになるはずです。英語は雑多な文化から生まれた産物であり、単語や言い回しも実に雑多ですが、それを学習し楽しんでください。私が書いた dialog を覚えておけば、会話力は大幅にアップするでしょう。この本で試してみてください」と自信を持って皆さんに呼びかけています。
本書の執筆ではアメリカ人留学生の Nathan Welihan 、 Hirohito Azuma さんに英文校正で、アメリカンハウス秘書の臼井あゆみさんには日本語校正で助けていただきました。感謝いたします。
青山学院大学卒。DenmarkのInternational People’s College, FinlandのHelsinki UniversityでScandinavian Culturesを学ぶ。元東京外語専門学校講師,前アルク「1000時間ヒアリングマラソン」講師。現在,(株)アメリカンハウス代表,大正大学・武蔵野大学講師。
著書に『Listen & Repeat 使える英語を身につける』,『Listen & Repeat+D 英語の自信が確信にかわる』(以上,ジャパンタイムズ刊),『音読でマスターする英単語』『なるほど!英文法Q&A』(以上,語研刊)などがある。
ホームページ http://blogs.yahoo.co.jp/listen_and_repeat2000
神戸生まれ。18歳まで日本で育ち,その後アメリカへ。Kent State University(国際関係論専攻)卒業。2002年,妻,娘と共に帰国。
Honeybee主宰。松崎博との共著に『頭に英語回路ができる!』(ジャパンタイムズ刊),『なるほど!英文法Q&A』(語研刊)などがある。ジョークが大好きなバイリンガル文筆家。