はじめに
本書は、『VOA 英語ニュースファイル』の第2集で、時事英語の学習を始めたばかりの方、これから始めようと考えている方を対象とする英語ニュースのリスニング学習教材です。CNNやBBC、あるいはインターネットラジオなど、英語ニュースを放送するメディアはたくさんありますが、それらのほとんどは英語を母国語とする人々を対象としており、上級レベルの英語学習者でも聞き取って理解するのは容易ではありません。時事英語の学習を始めるときには、英語ニュースを聞いて(あるいは読んで)理解できるようになりたいという目標があるわけですから、それを実現するには、自分の現在の英語力に合ったレベルの教材を使って学習する必要があります。
そこで、本書はリスニング題材として、VOA(Voice of America)SpecialEnglish という、アメリカ合衆国の国営ラジオで毎日放送されているニュースを採り上げました。VOA Special English は非英語圏の人々を対象とするニュースで、通常の英語ニュースに比べ、ゆっくりと読まれています(毎分100語程度)。また1,500語の制限語彙を用いて短く、やさしくまとめたニュースですから、無理なく聞き取れるようになり、初級レベルの学習者に最適のリスニング題材です。
本書で扱っているニュースは、政治、経済から健康、科学、社会・文化まで幅広く、総合的なニュース英語を学習できます。各ニュースについてキーワードの提示や理解度チェックのクイズを用意してありますから、単に聞き流すだけではなく、「情報を聞き取って理解する」というリスニング学習本来の目的に適切に対応しています。
また、今回は、米国の新政権や世界的な経済危機に関するニュースを積極的に採り上げました。米国ではバラク・オバマ第44代大統領による新政権が発足して、過去8年間の政策を大きく軌道修正し、100 年に一度と言われる世界的な景気後退に対処しようとしています。そこで、30本のニュースに加えて、オバマ大統領が毎週行っているインターネット演説と第1回記者会見を対訳で掲載しました。国民共通の理念を訴えかけて抽象的にも響いた就任演説とは異なり、経済危機を克服するための具体的な政策と、それに伴う犠牲と痛み、そしてブッシュ政治との決別を明確に語っています。CDに収録したオバマ大統領の実際の発言を繰り返し聞きながら、一歩進んだリスニング力の強化に活用してください。