はじめに

TOEIC®L&R テストの点はとれた，でも英語で話ができない，職場以外では英語圏の友人ができない，といった悩みを聞いていたあの頃，共にTOEIC 関連書の著者で，大学で英語教育に携わる二人が出会いました。それ以来，私たちは一人の著者では成し得ない最高品質の語彙集を作ろうと，二人で英語に対する疑問を真剣にぶつけ合いながら執筆を続けました。その結果，通常の語彙集の実に3 倍，総計1200 ページを超える大作「きわめたん」2 冊シリーズが完成しました。執筆に2 年以上を要したそのワケは：

• 多くのTOEIC テスト 受験者から，実際に出題された単語や熟語をこつこつ集めた。
• 単語の難易度判定のため，TOEIC テスト 受験者20 名が全ての単語にランク付けし，統計処理をした。
• 単語一つに複数の語義や適訳を当てて例文を作り，検証と改善を繰り返した。10 冊以上の辞書を調べ，ときには一文の作成に1 時間かけることもあった。
• 複数のネイティブと討論しながら，一文一文を推敲していった。

本書は，そんな本格的な原作「きわめたん」を，500 点台から600 点台突破をめざす学習者向けに，使いやすく「できる」語彙集に改編したものです。本書で，できる事に✓を入れて確認しましょう：

• 見開きで英語と日本語を分け，英語を見ながら和訳，日本語を見ながら英訳ができる
• 赤シート学習で，冒頭の一文字ヒントから繰り返し自己テストができる
• 例文を活用して，総合的な英語力向上ができる
• 短期集中で暗記中心でも学習ができる
• 無料音声ダウンロードができる

語彙学習に際しては，意味以外の側面，多義性，反意語，同意語，派生語，統語情報，コロケーションなどを習得し，語彙の運用能力を上げる必要があります。すなわち，単に語義を暗記するより，語彙の学び方や学習方略を身につけ，意識的に未知の語彙を求めて自ら学ぶ習慣を身につけるほうが先決なのです。「未知の語彙を聞いたら，耳から学べるようにその場で音とスペリングの関係を身につけ，語義と用法を学び，話すときにその語を使ってみる」（ リスニング Input ＞スピーキング Output）という練習や，「読んだ例文から自分で使える表現を摘出し，自らの思いを正しい英語で表現する」（リーディングInput ＞ ライティングOutput）という練習を優先させるのです。既知の1 単語に3つの語義があれば，例文と共に音読すれば，語彙は3 倍になります。Input した単語のより多くをOutput できる学習力，学習方略を，本書を援用して身につけられますよう，お祈りしています。