※ためし読みの色は実際の書籍とは異なります。
はじめに
Why should you polish your writing skills?
なぜ今、ライティングのスキルを磨かなければならないのでしょうか?
この本を今手にされている“あなた”は、英文ライティングの大切さを理解なさっている方ですね。
世間では“face-to-face”や電子的なコミュニケーションが主流になる「ペーパーレス社会」の到来が近いと考える人も多く、そんな人にとっては「話す」能力がなによりも重要で、ライティングのスキルを磨くのはムダ…ということになってしまいます。しかし現実には、ビジネスにおいて、あるいはプライベートな場面でもライティングのスキルはますます重要になっています。多くの人が愚かにもライティングを軽視し、書くことが苦手な人がますます増えるわけですから、逆にきちんとした英文が書けるということは、21世紀に生きる個人としてたいへんな強みとなるはずです。実際、ライティング能力の低下現象はマルチナショナル企業にとって大きな悩みのひとつとなっていて、英語を母国語とするアメリカや英国の企業でさえ、従業員のライティング・スキルを維持・向上させるために莫大な投資をしているのが現状です。
Why can't the phone take place of pen and paper or the keyboard, screen, and printer?
なぜ電話は、ペンと紙やキーボード、スクリーン、プリンターに取って代われないのでしょうか?
もしあなたの私生活で、近しい人が亡くなって悲しんでいるときに、知り合いからお悔やみの「電話」がかかってきたとしたら、どう思いますか?こういう場面に電話でメッセージを伝えることは不適切であるだけでなく、むしろ相手の心を害する行為と言ってもいいでしょう。また別のケースとして、電話で寄付を頼まれたとしましょう。電話で寄付を頼むのは無遠慮すぎると思いませんか?電話という手段は、人間の心の真意を伝えるにはカジュアルすぎるのです。
言うまでもなくビジネスの世界では、「書く」という伝達手段が好まれます。記録をとったり、複雑な情報の誤解を避けたりするからであり、あなたのメッセージの重要性を相手に理解させるからです。また、“face-to-face”や電話の場合によくあるように感情的になって堂々巡りをして時間を無駄にしないためでもあります。
What are the secrets of becoming a good writer in your second language, English?
母国語ではない英文ライティングがうまくなるための秘訣は何でしょうか?
The First Rule(まず第一に大切なルール)は、「言いたいことを自分自身がきちんとわかっているか」、つまり、「書くという手段を通じて何を達成しようとしているのか」という目的を明確にすることです。文章を書く場合、とりとめもなくだらだらと書いてはいけません。自分の言いたいテーマをふまえて表現をすることです。
その上で、文章の構成や展開を考え(Planning)、次に相手の立場に立って(You-attitude)受け容れやすいことばを選んで文章にし(Creating)、送る前に必ず見直す(Editing)という、ライティングのゴールデンルールをまもることが大切です。
最後になりましたが、本書の出版にご協力いただいた(株)語研編集部の島袋一郎氏、経営コンサルタントとしてご活躍の中小企業診断士・木下潔氏、UBSウォーバーグ証券の西田俊彦氏、デロイト・トーシュ・トーマツ・インターナショナルのマイケル=ダレサンドロ氏、カリフォルニア州立大学ヘイワード校と日米会話学院の関係者の方々、ディターミンド・プロダクションズ社の方々に感謝いたします。
本書を私たちの両親田中政信、羊子に捧げます。
2003年2月
たなか暁子
カリフォルニア大学バークレー校よりPh.D.を取得。カリフォルニア州立大学East Bay校准教授として,修士課程英語教授法プログラムのディレクターを兼ね,異文化間コミュニケーションの指導に携わったり,コンサルタントとしても活躍した。
現在は明治学院大学国際学部において,専門外国語プログラムのコーディネータを務める。これまでの研究と実践を通じて,今後は言語・国際教育の現場で活動を拡げていきたいと考えている。
米国ゴールデンゲート大学院M.B.A.修了。
現在,オール・ライツ・インターナショナルの代表として海外IP(知的財産権)業務に携わる。また,(財)日米会話学院で経営学,マーケティング,ネゴシエーションをはじめとするさまざまなビジネス関連分野の講師として指導にあたる。週末には愛犬のビーグル「獏」と共に社会貢献のために災害救助犬の訓練にはげむ。