はじめに
TOEIC(Test of English for International Communication)は、英語の「知識」ではなく「運用力」を測定するテストである。本書はTOEICでハイスコア(具体的には730以上)をめざす読者を対象とする英文法対策書であるが、ここで扱う文法は「文法のための文法」ではなく、「コミュニケーションのための文法」(Communicative Grammar)である。つまり、英語を用いて国際社会で立派に仕事をこなしていくうえで必要な「生きた英語力」を身につけることを目標としている。
このレベルでは、教育を受けた人ならだれも間違えないような英語―つまり、知的教養を疑われることがないような英語―で意志の疎通を図れなければならない。TOEICで必要とされる文法力もその範囲のものであり、特に「TOEICの英語」といったものがあるわけではない。しかし、受験者の便宜を考えて本書では、TOEICでしばしば出題とされる文法項目には特定のマークを付けて明示し、短期間で効率よく学習できるよう配慮した。
また、本書では解説をできるだけ簡潔にし、生きた例文で文法が理解できるよう、すべての文法項目について豊富な例文を日本語訳とともに示し、必要に応じて関連語彙リストを収録してある。文法的機能を持つ語句については、英語を話し、書くうえで参考になるよう、本文、索引にできる限り具体的に列挙するよう努めた。
本書は全編を通して読まれてもよいが、座右においてレファレンス・ブックとして活用されることを勧めたい。検索の便宜を考えて詳しい目次と索引を用意してある。
本書が世に出るにあたり、4年がかりの執筆に辛抱強くつき合ってくださった語研編集長の奥村民夫氏はじめ編集部の方々に心から感謝の意を表したい。