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付録CDに関するFAQ
※ためし読みの色は実際の書籍とは異なります。
はじめに
外国語学習においてリスニング学習は欠かせないものですが,中級以上のレベルとなると意外にリスニング教材はまだまだ多くありません。そんな中,今回この教材ジャンルに強力な新ラインナップが加わることになりました。
NHK が海外向けに行っているサービスに“NHKWORLD ラジオ日本”があります。NHKWORLD ラジオ日本は,17 言語で世界に日本の情報を発信している NHK の国際放送(短波)です。ニュースのほか,最新技術や文化など,日本の今を海外に伝えています。インターネットでも音声を聞くことができます。( http://www.nhk.or.jp/korean )また一部の番組は,NHK ラジオ第 2“ハングル日本百科”(土,日 17:45-18:00)でも放送しています。
本書は , この NHKWORLD ラジオ日本のコリアンサービスを利用した学習教材です。素材は,正確な取材をもとに NHK の記者や番組プロデューサーが書いた原稿ですから,中身がおもしろいのはもちろんですが,本書では,その中でも学習教材に適した選りすぐりのものを,1 分から 1 分半ほどの長さでピックアップして収録しました。内容は,日本の伝統を伝えるものや最新テクノロジーの分野,ものづくりや研究の分野が取り入れられるようにし,また料理ものに関しては,たくさんの料理を盛り込むのではなく,ひとつの料理を多角的にリスニングできるよう工夫しました。そうすることで単語の定着率が上がる効果が期待できるからです。そして今回選んだのが“すし”です。他の日本料理については,次回が発売の折まで楽しみにしていただけたらと思う次第です。
この放送をさらに聞きごたえあるものにしているのが,現場で日本語原稿を受け取り,短い時間で翻訳をし,マイクを通して発信するアナウンサーの方々の力量です。放送では,海外のリスナーにとって耳慣れない日本の地名や人名をはっきり発音しています。話すスピードも速くなりすぎないように気配りされていますが,単純にきれいにはっきりと原稿を読んでいるだけではありません。時には臨場感ある速さで,普通の会話のようにしゃべっていて,それもこの放送の楽しさになっています。一般会話のスピードの聞き取りにもきっと役立つことでしょう。本書の素材は,ほぼ,アナウンサーの話す速さのゆるやかな順から並べてあります。そのあたりも活用して学習に役立ててください。
本書の刊行にあたって協力をいただいた NHK,(株)NHK グローバルメディアの皆様に心より感謝いたします。また,根気のいる作業に尽力くださった語研(株)の島袋一郎さん,西山美穂さんに感謝申し上げます。
この本が,少しでもみなさんのリスニング学習の助けになることを願ってやみません。
本書の使い方
本書はNHKワールド・ラジオ日本で海外向けに放送された韓国語番組を素材にしたリスニング教材です。日本発のバラエティ豊かな話題を聴きこなせるようになることを目標としています。
中心となる読者対象は,中級レベルの学習者(ハングル能力検定3級取得者)ですが,初級後半レベル(韓国語の基礎的な語彙,文法,発音を一通り身に付けた人)でも使用することができます。
本書では,実際に放送された生の素材をもとに,2種類の【リスニングクイズ】(大意・詳細把握問題)と,【練習問題】(空所補充問題,作文問題,内容一致問題)を通してリスニング力を高めていきます。さらに【重要語句】で語彙力の増強を図り,【文字どおりに発音しない語ピックアップ】で,発音に注意が必要な語句をチェックし,【文法ピックアップ】では,文法事項の再確認を行います。
【学習方法について】
- まず本文を通して一度聞いてみてください。この段階ではまだスクリプトは見ないようにしましょう。次に,自身の内容理解力を測るために,各2問の【リスニングクイズ】に答えてみましょう。
- 次に聞き取れなかった単語を,スクリプトを元に確認しましょう。。【重要語句】は内容を理解するうえで覚えておきたい単語です。自分にとって初出の単語,覚えきれていなかった単語をできるだけ定着させるように意識しましょう。単語をある程度把握できたらシャドーイング(音声を追いかけるように読む練習法)を行います。
- 内容が正しく理解できているかは【日本語訳】でもチェックしてみてください。
- 【文字どおりに発音しない語ピックアップ】では,実際の文字と耳から聞こえる音が異なる語句をピックアップしています。この音の変化を理解していないと,内容を聴き取るのが難しくなるので,きちんと把握しておく必要があります。
- 【文法ピックアップ】では各セクションに1項目ずつ,例文とともに文法を紹介しています。作文のヒントとしても役立ててください。
- 最後に,【練習問題】にチャレンジ。空所補充問題,作文問題,内容一致のクイズを用意してあります。 Q1の空所補充問題は,各問題の頭から繰り返し聴けるよう, 1問ずつ音声を分けてあります。シャドーイングのウォーミングアップにもご活用ください。作文問題は,簡単と思っていた単語も意外に書いてみると正しく書けない場合があるものです。間違えていたならば,間違えを補正することでさらに単語を定着させてください。
- 【練習問題】は音声内容を正確に整理把握して聞けていたかどうかを楽しみながら,確認,チャレンジしてください。
- 最後にもう一度シャドーイングを行いましょう。今度はきっちりと意味を認識しながら行ってください。
- 各テーマの並びは,ほぼアナウンサーの話すスピードのゆるやかな順にしてありますが,学習は興味あるテーマから始めることもひとつの選択肢です。どうぞ楽しみながら音声とテキストをフル活用してください。
韓国語講師。岡山県倉敷市生まれ。青山学院大学文学部フランス文学科卒業。レコード会社ディレクター,NHK携帯端末ディレクターを経て,NHK報道番組「アジアクロスロード」ディレクターとして,アジアを伝える番組制作,韓国KBSのニュースや番組に関する通訳,翻訳,取材,原稿執筆などに携わる。著書:『完全マスターナチュラル韓国語会話表現(共著・語研)』,『使える・話せる・韓国語表現』(語研),『ミュージカル「パルレ」を歌って日常韓国語を学ぼう』(晩聲社)
立命館大学,同大学院日本語教育学修士課程修了。韓国慶熙サイバー大学院グローバル韓国語学修士課程修了。文部省国費留学生。第17代京都府名誉友好大使。ヘッドハンティング会社と商社を経て韓国語講師・日本語講師・通訳翻訳・韓国語ナレーターとしても活躍。NHK文化センター韓国語講師を経て現在は日本外国語専門学校の専任教員。単著に『すぐに使える!韓国語 日常フレーズBOOK』(高橋書店),『韓国語 ビジュアル単語集』(高橋書店),『韓国語の会話表現が面白いほど頭に入る本』(中経出版),共著に『シゴト韓国語 応用編』(三修社)などがある。