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※ためし読みの色は実際の書籍とは異なります。
はじめに
ドイツ語の授業をしていると「ドイツに行きたいのですが,英語でも大丈夫ですか」と尋ねられることがあります。きっと大丈夫です。恐らく今の時代はドイツ語圏以外でも,どこに行っても英語で大丈夫(=なんとかなる)でしょう。ではなぜドイツ語を学ばなければならないのか。想像してみましょう。もし日本にやって来た外国人の友人と英語でしか話ができないとしたら。「日本語ならもっと面白いということが伝えられるのにな」,「日本語で言うとちょっとニュアンスが違うのにな」,「日本語で話したいな」と感じるときがくるかもしれません。また道を歩いていて,外国人の方から日本語で道を尋ねられたとしたら,それがたったひと言であったとしても「日本語が話せるなんてすごい!」と感じませんか。尊敬の念を抱くと同時に,少し距離が近くなったように感じるはずです。ドイツ語圏はフランス語やオランダ語,チェコ語にポーランド語など,いろいろな言語圏に囲まれています。それゆえドイツ語を母語とする人たちは,私たち日本人よりも日常的に外国語つまり「よその言語( Fremdsprache )」に慣れています。とはいえ母語( Muttersprache )で話しかけられて嫌な気はしないはずです。あなたは fremd な言葉を話す人ではなくなりますから*。
コミュニケーションは言葉だけで行われるものではありません。ただ,言葉が心をつなげてくれる重要な要素のひとつであることには違いありません。せっかくドイツ語圏へ行くのならドイツ語を使って現地の人の心に近づいてみましょう。「なんとかなる」に甘んじることなく,本書を手に取ってくださったすべての皆様の成功を祈念しております。 本書の作成にあたり,さまざまな方が執筆された辞書や文法書から多くのことを学ばせていただきました。またドイツ語の表現を丁寧に校正してくださった後藤コリンナ・ヴェレナ先生には心から感謝申し上げます。さらに執筆前から絶えず貴重なご指摘をしていただきました語研編集部の宮崎喜子さんには感謝の気持ちに加えて,過密なスケジュールで大変な作業をしていただいたことを実に申し訳なく感じておりました。最後まで本当にありがとうございました。
信州大学人文学部准教授。インスブルック大学博士課程終了。専門はドイツ語学。主な研究領域はドイツ語造語法とテキスト生成理論。独和・和独辞書の編集作業にも携わる。