本書は,一般的(伝統的)な並びとは少し違う順番でドイツ語初級文法の復習を終えられるように構成されています。
単なる学び直しにとどまらず,文法知識のさらなる定着や,独検(ドイツ語技能検定試験)3~2級の文法対策にも役立てていただけます。
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はじめに
本書は,『1か月で復習するドイツ語基本の500 単語』(西野路代著)の同シリーズとして企画されました。短い対話を想定した表現や,旅行で使える表現・語彙は,この単語帳で練習していただけます。本書は文法に特化しており,初級文法の学び直しができることが特徴となっています。
単なる学び直しにとどまらず,文法知識のさらなる定着を図りたい方,ドイツ語技能検定試験(「独検」)の文法対策をされたい方などにも役立てていただけます。独検レベルで言うと,3 級〜2 級の対策に適しています。
本書における文法項目の並び順は,一般的な,いわゆる伝統的とされている並びとは少し異なっています。たとえば,「形容詞」は伝統的には「前置詞の格支配」なども一通り終わったあと,名詞を修飾するものとして扱われたり,文法書によっては扱われるのを省略されたりする項目ですが,本書では冠詞と一緒に学びます。名詞の性・数・格を示す文法としては,冠詞も形容詞も一緒に考える必要があるからです。
文法は文を作り出すときのルールですが,文を作り出す目的は情報を伝達したり,情報を求めたりすることです。欲しい情報が的確に得られるように,一定の決まりに従った文を発する必要がありますし,相手に伝えたい情報があるときにも一定のルールに基づいて発することでより効果的な伝達ができます。情報伝達は,「新しい情報は最後に」が原則です。最後に伝えられた情報ほど耳に残るからです。ドイツ語は,文末に動詞を格納する「枠構造」を持っています。ドイツ語が情報伝達ツールとしてとても合理的な仕組みを備えていることなど,言葉の面白さ・奥深さも感じていただけると幸いです。
本書がみなさんの助けとなりますように。
東洋大学法学部教授(博士(学術))。専門はドイツ言語学・ドイツ語教授法。ポツダム大学,ザルツブルク大学などで在外研究。
著書に『ドイツ語積み増し360 語』(語研),『わたしのドイツ語32 のフレーズでこんなに伝わる』『中級学習者のためのドイツ語質問箱100 の疑問』(白水社),『ゼロからスタートドイツ語文法編』(J リサーチ出版)など。
2016 年10 月〜12 月(第1 期),および2018年10 月〜2019 年3 月(第2 期)に,NHK ラジオ講座「まいにちドイツ語応用編(ドイツ語発見の旅1・2)」を担当。